正しい治療を継続することで症状をコントロールし、普通の生活を送ることができます 双極性障害は、薬による治療(薬物療法)を継続することで再発を防ぎ、状態が長く安定した状態(寛解)を維持できます。寛解を維持するためには薬の服用を続ける必要がありますが、普通の生活を送ることができます。 また、薬物療法と下記のような心理社会的治療を組み合わせることで、ストレスを軽減させ、症状をコントロールしやすくなります。ただし、治療の中心は薬物療法ですから、自分の判断で勝手に服薬を止めてしまってはいけません。 【心理教育】 患者本人が病気を正しく理解し、受け入れることで症状をコントロールできるようになることを目指します。 【対人関係社会リズム療法】 対人関係の問題を解決し、規則正しい生活リズムを身につけることで、再発予防を目指します。 【家族療法】 家族全体が病気に対する理解を深めることで、家庭内の人間関係を改善し、協力して治療に取り組むことを目指します。 【認知行動療法】 物事を肯定的にとらえる考え方を学び、問題となっている行動を分析して行動を適正化することを目指します。 双極性障害の治療しないとどうなるの? 大切なものを失ってしまう可能性も 双極性障害は、治療せずに放置したり、治療を途中で止めてしまったりすると、多くの場合、再発を繰り返します。次第に再発の間隔が短くなり、1年のうちに4回以上、躁/軽躁状態とうつ状態を繰り返す「急速交代化」になることもあります。 うつ状態は本人にとってとてもつらく苦しい時期ですし、たった一度の躁/軽躁状態でも、それまで築いてきた大切なもの(家族、信頼、社会的地位、財産など)を失ってしまうリスクがあります。できるだけ早めに治療を開始し、再発を防ぐことが大切です。 双極性障害の薬物療法ではどんな点に注意が必要ですか?
翔泳社より発売中の『 もっと知りたい双極性障害 ココロの健康シリーズ 』。双極性障害に関する最新の知見を紹介した本書から、「PART 1 もっと知りたい病気のこと」を抜粋して紹介します。 本書は好評の『 これだけは知っておきたい双極性障害 』の続編で、監修は同じく、双極性障害の研究を牽引してきた順天堂大学医学部 精神医学講座の主任教授である加藤忠史先生。双極性障害への理解を深められるシリーズです。 上記は『もっと知りたい双極性障害 ココロの健康シリーズ』が作られた経緯を担当編集者の視点で紹介している記事です。 以下では本書から「PART 1 もっと知りたい病気のこと」を抜粋します。掲載にあたって一部を編集しています。 1 病気克服までのステージ。あなたは今、どこにいる?